2008年12月03日

『聖女の救済』 東野圭吾

この本を読みながら、ずっと疑問に思ってた。
誰が何を救済するのだろう、と。
それは最後の最後になってやっとわかった気がする。
それは未来?けど…。

ガリレオシリーズの最新刊であるこの本。
ある意味楽しみ、ある意味不安な気持ちで読み始めた。
不安な気持ちのほうが大きかったかな。
けど、東野圭吾のストーリーテラーとしての能力はやっぱりすごいと思う。
随所に張り巡らされた伏線。
不安を覆して、なかなか堪能することができた。

聖女の救済
東野 圭吾
4163276106 聖女の救済 東野圭吾

 「小説で」湯川や草薙にあうのは、『容疑者Xの献身』以来数年ぶりになる。
しかし、ボクはその間に彼らに出会ってしまっている。

それはもちろん、TVドラマTVとして放送された『ガリレオ』だ。
映像の印象はやっぱり大きかった。
『容疑者Xの献身』で形作られた湯川のイメージを大きく変えてしまった。
今回もページをめくりながら、湯川にしても、草薙にしても、
それに加えて今回から登場した内海薫…。
どれもありありと顔が姿が声が語り口が浮かんできてしまう。
なおかつ、BGMのギターサウンドまで聞こえてきてしまうのだから困ったものだがく〜(落胆した顔)
強烈なイメージが作られてしまって東野圭吾も書きにくかったのじゃないかな。
だからか、この『聖女の救済』は、『容疑者Xの献身』に比べて、登場人物たちの容姿に
関する描写が少なかったような気がする。
なので余計にTVで作られたイメージで本を読み進めてしまうのだった。
それがいいのか、悪いのか。。


まぁ、それはさておき。
『容疑者Xの献身』では湯川は脇役で、主役は明らかに石神だった。
今回もそのパターンでは?と思ったが、今回は草薙の個性も際立っていたと思う。
が、やっぱり湯川はすごい。
その論理的な思考の展開は、読むものをうならせる。
TVドラマのような派手派手しい演出はないが、それが故に余計に冷静ながら
人とは視点の異なる湯川の推理、そしてそれを実証する手際に感心してしまう。


さて、今回の重要な役回りである綾音の行動には評価が分かれるらしい。
女性を“子どもを産む機械”と思ってるような男は、男の自分からしても論外だと思うが、
そんな男でもやっぱり魅力的なのだろうか。
それとも自分の手で断罪すべきという使命だったのだろうか。

子どもを身ごもり生み育てることの難しさというのは経験してないながらも
それなりには分かってはいるつもりだ。
女性にとって子どもを生むというのは、命がけの仕事。
それに見合うだけの価値があるかどうかはその人の考え次第だが、
ボクはうーん、どうだろう。
母子ともに健康、そして夫婦で子どもを育て上げる、やっぱそれが理想かな。
けど、もし例え子宝に恵まれなかったとしても夫婦は夫婦だと思う。。。

その考え自体が脳天気(^^ゞ
母子ともに健康で生まれてきた兄妹を育てるのを母ちゃんに任せっきりにしていて
ヒジョー!に申し訳なく感じているのだけど…。(>_<)


ボクの評価としてはこの作品よりもやはり読み物としての『容疑者Xの献身』の方に軍配が上がる。
人間ドラマの厚みとしてあっちのほうがずしりとしたモノがあったし、
深くふかーく感じ入るモノがあった。
『聖女の救済』は少しライトな感じで、やっぱり映像向きなのかもしれない。
福山のガリレオの続編としてはちょうどいいのかも。

なんて書くと、女性であり、子どもを生み育てている母親であり、
ついでに福山雅治の大ファンである母ちゃんには怒られそうやけど。
(そういうボクは内海薫が見れれば満足だったりする…^^;)
posted by だのん at 06:42 | Comment(2) | TrackBack(2) | 本読んだ






この記事へのコメント
お久しぶりです。以前、「手紙」にコメントしました。だのんさんが言われるとおり、作品の出来としては「容疑者Xの献身」のほうが上でしょう。しかし、ガリレオシリーズはそもそも短編から始まった、どちらかと言えば軽い感じのシリーズなので、私はあまり人間ドラマを期待してはいません。読み物としては十分面白いので、それでいいと思います。

私もこの本のレビューを書きました。また暇なときにでも読んでみてください。
Posted by 三毛ネコ at 2008年12月04日 15:06
★三毛ネコさん
お久しぶりです。コメ返しが遅くなりすみません。
『容疑者Xの献身』はガリレオシリーズ初の長編ですが、ボクはそこから入っているので次の長編ということで期待していた面も多かったのかもしれません。
『容疑者』では犯人側があくまで主人公で犯人側の視点で書いていましたので、余計に人間ドラマにはまってしまったのかも。
この作品はこの作品でやっぱりおもしろかったですよね。
うちの図書館では今700人以上の待ちになってます…。
Posted by だのん at 2008年12月21日 12:55
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